MITSUHASHI CORPORATION

京都の老舗、島津製作所に育ててもらった。

多くの京都企業がそうであるように、京都を拠点として発展し続けてきた三橋製作所。ここでは代表取締役を務める三橋宏、中堅社員、若手社員の三名が「京都企業のDNA」をテーマとしたクロストークを展開。京都で事業を展開してきた経緯と、その意義に迫ります。

前 編
京都だったから今の三橋がある。

.後篇

京都の伝統「餅は餅屋」なやり方から始まった。

若手:
京都には世界に名だたる老舗企業が存在しますが、思えばうちも京都をずっと拠点にしてきたのですよね。 

社長:
そうですね。京都は観光だけではなく、ものづくりの面でもユニークな企業が揃った街です。京セラさん、ワコールさん、任天堂さん、村田製作所さん、堀場製作所さん、オムロンさん、ロームさん、日本電産さん……。

中堅:
そして我々の成り立ちとは切っても切れない島津製作所さん。

社長:
そう。ノーベル賞受賞者も輩出した博士号を持つ人が大勢いる学者集団。ユニークな京都企業です。島津さんは自社工場ではほとんどものを作らない。代わりに地元の協力企業がそれを請け負うというやり方を長年続けてこられて、かつては我々もその協力会社のひとつでした。最近はそのやり方も少しは変わってきたと聞いてはいますが。

若手:
なぜそういった方法を採られてきたのでしょう。

社長:
京都は1000年以上の歴史を持つ土地柄とあって、いろんな分野における一級の技術者集団が点在しています。仏具なんかを修理するときでも、ひとつひとつの工程ごとに専門業者に出して仕上げてもらうと、多少高くつくものの最高レベルの仕上がりになる。要はこういった京都らしい「餅は餅屋」なもの作りを、島津さんも踏襲してこられたのではないか、と。

中堅:
そんな中で、うちは元締めとなる請負業者のひとつだったわけですね。

社長:
そうです。元々私どもは加工業者のひとつとして島津さんとの取り引きをスタートしました。そのうちに加工だけでなく組立も、電気配線も、資材調達も、設計も、と頼まれていく中で、徐々に担当領域を広げていきました。

若手:
さながら京都で140年以上の歴史を持つ島津さんに育ててもらったというか……。

社長:
私はそう感じています。島津さんとのお付き合いは50年ほど続きましたが、長い時間をかけていろんな技術を磨いてきました。今こうしてメーカーとして存続できているのは島津さんのおかげです。

中堅:
私たちの周囲には少なからず「島津育ち」の企業がいますよね。

社長:
京都には私どもを含め製作所が数多くありますが、その多くが島津育ちです。島津で培った技術を手に、大手の下請けを担ったり、メーカーへと発展したりしています。

下請企業から、自社プロダクトを手がけるメーカーへ。

中堅:
うちが下請企業からメーカーへと変わっていったのは「オンリーワン」をめざす京都企業の気質とも無関係ではなかったのでしょうか。

社長:
理由はひとつではありません。ただ下請時代から、先代社長は「高度経済成長期は下請けでもいいけれど、いずれ自社製品を持たないと立ちゆかなくなる」と予見していました。

中堅:
先見の明があった、と。最初は「蛇行修正装置」で、これは下請の仕事が全盛だった昭和28年のことですよね。

社長:
これは「織物の街」である京都と縁のあるプロダクトです。地元の染織機械の企業さんから「原反の巻物を白地から染めていく際に、生地が蛇行しないように流せないか」と相談されて作りました。



繊維業界の自動省力化分野に進出。
染色整理加工機のシート耳端制御装置を製作。
(昭和28年)

若手:
今にも続く長寿商品ですね。

社長:
その通り。当初は扱うものが生地でしたが、それが紙に代わり、現在はフィルムに代わりました。テレビの液晶ガラスの中にフィルム状の基板が入っているでしょう? それを生産する現場などでも活躍し続けています。

中堅:
うちの「エアーシャフト」も、原反に関わりがある製品ですよね。

社長:
そう。軸芯として使用され、保持された原反を繰り出し、加工を終えたワークを、あらためて巻き取る(などの)軸芯です。だから、これも京都ならでは。あれも40年くらいの長寿商品になりました。もうひとつ三橋にとって大きな転機となったのが「連包パウチ自動投入機」です。

中堅:
当時、大阪にあった大手食品メーカーさんから相談されたのですよね。

社長:
そう。即席麺の袋をあけると麺の上に袋詰めされた液体、粉体、かやく、調味料などが乗っていますよね。即席麺を大量で袋詰めするとなると、相当なスピードで麺の上に乗せねばなりません。かつてはこれを手作業で処理していましたが、私どもが機械で処理できるようにしました。

若手:
これによって我々はニッチな世界へと打って出ることになったのですね(後編に続く)

 
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