MITSUHASHI CORPORATION

オンリーワン、ニッチな存在でありたい。

多くの京都企業がそうであるように、京都を拠点として発展し続けてきた三橋製作所。ここでは代表取締役を務める三橋宏、中堅社員、若手社員の三名が「京都企業のDNA」をテーマとしたクロストークを展開。京都で事業を展開してきた経緯と、その意義に迫ります。

後 編
「本物を尊ぶ」のが京都流。

.前篇

グローバル展開に前向きなのも京都らしさ。

(前半から続く)

社長:
即席麺は日本発の商品です。今まで世界になかったものに携わるとニッチになりやすい。その点、うちはラッキーでした。やはりできるだけニッチな分野で世界と張り合っていきたいし、グローバル展開を意識し続けたい。

中堅:
京都にはグローバルな視点を持つ企業が多いですよね。

若手:
最初、うちは何をグローバル展開したのですか?

社長:
蛇行制御機です。20数年前、いち早く中国に出しました。ほかだと、ほぼ同時期に小袋の投入機。これについてはグローバル展開することになったのは必然でした。数年前、世界における即席麺の年間消費量が1000億食を越えましたが、そのうち日本で生産しているのは55億食、一方、中国では450~480億が生産されています。圧倒的な量です。この分野で一番有名なのが康師傅控股有限公司(カンシーフー)で、中国における最大の台湾企業です。ここが早くから「日本の最先端の機械を使って生産する」とうちの製品を選んでくれてきました。

中堅:
おかげで私どもの製品のブランド価値が高まったわけですね。

社長:
そうです。ラーメン市場が中国に次いで大きいのがタイ、ほかだとインドネシアや韓国も大きい。最近だとアフリカで増えています。このグローバルな広がりに応じて、私どもの製品の輸出台数も増えていきました。

「大きな市場より、大きなシェア」が京都のマナー。

中堅:
京都の企業はよく「大きな市場より、大きなシェア」を尊ぶといいますね。

社長:
たしかに。私どもは運に導かれて、ニッチな市場で大きなシェアをとらせていただきましたが、絶対に言えるのは大手が手を出す分野に手を出してはならないということです。大きなマーケットを狙うと、大手が現れてすぐにシェアを奪われてしまいます。うちの投入機などの関連機器なんかは、恐らく市場規模は50億円くらいだから、大手にとっては魅力が薄くて参入しにくい。だから中小企業であるうちでも大きなシェアを取れるのです。

中堅:
マーケットの規模が、参入する企業のサイズや数を決める、と。

社長:
そうですね。商いは、単に「作れるから作って売ります」だとダメなのです。

中堅:
話は変わりますが、即席麺で使う投入機と、蛇行制御装置やエアーシャフトは、出自はまったく異なりますが、今になってふたつには関連が生まれました。

社長:
ラーメンの小袋ってフィルムでできているでしょう? フィルムが流れてきて包装するわけです。このフィルム自体の原反をつくるときにも蛇行は防ぎたいし、包装するときにズレが生じるのも防ぎたい。だから包装機などに蛇行制御装置を付けていただいています。

若手:
この分野では、シェアはトップですか?

社長:
トップクラスでしょうか。かつて包装関係は、ズレに対してそこまでシビアではありませんでした。しかし要求レベルが徐々に高まるなかで、需要も高まってきた分野です。

社歴75年は、まだまだヒヨッコ同然。

若手:
つまるところ「京都企業のDNA」とは何なのでしょう。

社長:
いろんな意見があるとは思いますが、語弊を恐れずにいうと私は「本物を尊ぶ」ことだと思います。オンリーワン、ニッチ、専門職。これらが高く評価される。

中堅:
だからこそ大企業でなくても、大きなシェアを握ると尊敬されるわけですね。

社長:
そうですね。繊維・織物の世界も、仏具の世界でもそうですけど一流の技術を持つことが大切。食の世界もそうかもしれません。京料理は見た目をいかに美しくするかに、必ず一流の技が凝らされています。この凝りようには「さすが京都だな」と感心させられます。

中堅:
こうして日頃から一流に接していると、一流を意識するのが当たり前になり、ものを見る目も自然と磨かれるのでしょうか。

社長:
そういう部分もあるかもしれないですね。あと京都には長寿の企業がいっぱいあります。そんな中で、私どもは74年。まだまだヒヨッコみたいなものです。

若手:
うちの会社でもヒヨッコですか!?

中堅:
100年以上をめざすのが京都流かもしれませんね。

社長:
それは間違いないでしょう。長寿企業は必ず盛衰を迎えるのですが、必ずある時期に中興の祖が出てきて組織を再建し、また成長の波に乗せていくものです。うちも100年でスタートラインだと思いたい。私がこの世を去った後も、エノキアン協会(*1)へ入会できる200年以上をめざして存続し続けてほしいですね。


*1 家業歴200年以上の企業のみ加盟を許される老舗企業の国際組織。フランスのパリに本部がある。

 
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